ペンションオーナーのみなさんは、平成19年に始まった農林水産省企画の「郷土料理百選」なるものをご存知でしょうか。一般にはあまり知られていないのではないかと思いますが、地域の産業支援にもつながる意義のあるイベントだと思います。
そこで、その主な内容を以下にご紹介させていただきます。「農山漁村の郷土料理百選」について
~食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味~
1.趣 旨全国各地に伝わる郷土料理のうち、農山漁村で脈々と受け継がれ、かつ「食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味」として国民的に支持されうる料理を郷土料理百選として選定、それにまつわる歴史、文化、レシピ、伝承活動等についてとりまとめ、全国に情報発信し食文化を通じた地域振興を図るとともに、都市と農山漁村の交流を促進する。
2.内 容
(1)農山漁村の地域住民の間で受け継がれ、現在も食されている郷土料理を対象とする。
(2)既存の刊行物等の整理や都道府県等からの推薦などにより、百選の候補料理リストを作成する。またインターネットによる国民の人気投票等も審査の過程で導入する
(投票期間:平成19年9月1日~10月10日)。(3)郷土料理百選を選定に当たっては、料理研究、食文化、都市農村交流及び女性活動等に精通している有識者で構成される「郷土料理百選選定委員会」において12月中に決定する。
*平成19年7月、10月、12月委員会(百選の決定)を開催
【郷土料理百選選定委員会(敬称略)】
氏名・所属・職名等 備考
服部 幸應 食育研究家・学校法人服部学園理事長 委員長
秋岡 榮子 経済エッセイスト
合瀬 宏毅 NHK解説委員
絹谷 幸二 画家・東京芸術大学教授
田部 浩子 (社)農山漁村女性・生活活動支援協会参与
平野 啓子 語り部、キャスター
舩山 龍二 (株)JTB代表取締役会長
向笠 千恵子 フードジャーナリスト、エッセイスト
4)百選の概要
(歴史・文化・レシピ・伝統食材・伝承活動含む)と選定委員のコメントも交え、刊行物及びウェブサイト等を通じ全国に広く情報発信する。*平成20年2月実施
3.その他
平成20年度以降は、「食べてみたい!食べさせたい!郷土料理」という視点で、国民の皆様に食べていただく、知っていただくイベントを開催するなど消費者との交流を進めるとともに、農山漁村への観光客、訪問者等に郷土料理に関する情報を幅広く提供できる体制づくりを行う。■ 「農山漁村の郷土料理百選」の考え方と選定基準
「郷土料理」とは
郷土料理とは、「それぞれの地域独特の自然風土・食材・食習慣・歴史文化等を背景として、地域の人々の暮らしの中での創意工夫により必然的に生まれたものであり、家族への愛情や地域への誇りを持ちながら作り続けられ、かつ地域の伝統として受け継がれてきた調理・加工方法による料理」を言う。
言い換えれば、「季節季節の旬の素材とその保存・活用等により、その土地で培われた伝統的な料理法で調理された、それぞれの土地自慢の味」とも言える。
※ 郷土料理は、調理済みの状態を指し食材そのものは除外する。なお、加工品、お菓子類は含めることとする。(選定の視点)
○ 食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味
○ これからも大切にしたい残していきたい伝統的な母の味・故郷の味・心の味<選定基準>
1.郷土料理としての地域性や独自性、農山漁村の歴史文化的な意義を有しているか。
2.郷土料理の保存・継承への努力がなされているか。
3.地元食材・国産材料の活用や地域の生産振興に寄与しているか。
4.地域住民に郷土の自慢の味として認知されているか。
5.都市との交流、地域振興に活用されているか。■ブロガーからひとこと
こういう企画はとても良いと思います。地域振興のために様々なビジネスチャンスを創出してくれそうです。ただ、この選定方法に一言。
選者の面々には、「全国から送られた候補料理について全く知らなかった、あるいは一度も食したこともない料理もあったのではありませんか」とお聞きしてみたい。書類選考や写真選考、そしてパネリストの意見などを勘案して選考したのだろうと思います。全国で1600以上の推薦料理から選定するのですから、作業的にも大変なことは理解できますが、少なくとも一度は実際に試食してみる必要はあったのではないかと思います。地域振興というと地元の方々にとっては死活問題とまでは行かないまでも、それに匹敵するくらい注目している決定でしょう。百選に選ばれれば、今後飲食業界のみならず地元の観光業界や土産業界など多くの事業者がその効果を期待することは間違いありません。それだけ意味のある事業ですので、できれば実際に試食して選者のみなさんのコメントも添えていただけると更に伝播力が増すのではないでしょうか。